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こんにちは。マリヤ・クリニックです。 私たちは、日本で最初に分子整合栄養医学を始めた内科・小児科のクリニックです。 私たちが多くの方に知ってもらいたい情報をお伝えしていきます。 このページの情報はYoutubeのアニメーション動画でご覧になることができます。 このページは、動画配信した内容を文章でもご覧いただけるようにするために作りました。動画を観た後に、文章で情報を再度確認するとより理解が深まるかと思います。また、文章を読んだ後に動画を観ることで、より具体的なイメージが湧くこともあるでしょう。 マリヤ・クリニックの発達障害治療について 私たちは、早くから次世代医療モデルとして知られる機能性医学を実践しています。機能性医学とは、病気の原因を見つけ出し、原因から改善していく治療のことです。また、検査結果からの総合的な分析と治療が正しい方向性で行われるように、分子整合栄養医学による治療の習熟に努めています。 発達障害の根本改善に対して、血液検査をはじめ、国内では行っていない様々な検査を行っています。発達障害の原因は、栄養失調の他に、遅発型アレルギー、グルテン・カゼインによる反応、代謝障害、有害ミネラル等が見つかっています。また、腸内環境を整えることはとても重要な要素になります。 身体が求めている栄養素を必要量与えること。それによって、脳や腸、身体全体のレベルが上がれば、おのずと不調は根本改善に近づいていきます。この考え方が広まることを願っています。

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【発達障害の症状改善】IgG遅発型アレルギー編

身近な食品が心身の負担に!?その不調、隠れたアレルギーが原因かもしれません 「アレルギー」という言葉を聞いたことがありますか?花粉症やぜんそく、アトピー性皮膚炎などは有名なアレルギー疾患ですが、現代では食べ物によってアレルギー症状が出る人も珍しくありません。食べ物によるアレルギーというと、食べた後すぐに蕁麻疹が出たり、呼吸が苦しくなったりする「即時型アレルギー」と言われるものが一般的です。しかし実は、食べてから数時間、場合によっては何日も経ってから身体に影響を与えるアレルギーが存在することをご存知でしょうか?このアレルギーは「遅発型アレルギー」と呼ばれ、精神的・身体的に様々な症状をもたらすことが分かっています。今回は、この遅発型アレルギーと発達障害の症状について、Cくんの例を見ながらお話ししたいと思います。 1.落ち着きのなさと、ある食品が関わっていたCくんの例 保育園の運動会ではみんなが踊っている中1人だけ走ってしまうなど、集団行動に難しさを抱えていたCくん。周りから多動があるのではないかとの指摘を受け、マリヤ・クリニックで治療を開始しました。当時の症状としては、落ち着きのなさのほか、異常な食欲・空腹時の興奮・食後の強い眠気など、血糖値の不安定さを示す症状も見られました。検査結果に基づいて、乳や小麦など負担となり得る食品の除去を筆頭に、腸内環境の改善、血糖値を安定させる食生活のアドバイス、サプリメントの摂取などで治療を始めました。すると、徐々に落ち着きが見られるようになり、異常な食欲も落ちついてゆき、読書やパズルなども集中して取り組めるようになっていきました。 しかしC君の場合、体調が安定した時期に小麦製品の摂取を試みたところ、感情の波が激しくなるなど周囲とのトラブルが増え、再度小麦の除去が必要になった、という経緯があります。カゼイン/グルテン編の動画で、乳と小麦のペプチドが発達障害の症状にも関わるというお話をしましたが、Cくんの場合、ペプチドの検査※では乳ペプチドであるカソモルフィンの数値が高く、小麦ペプチドであるグリアドルフィンの数値は正常範囲でした。しかし、遅発型アレルギーの検査では乳よりも小麦の数値が高く、実際に乳よりも小麦を摂った時の方が体調に明らかな影響を及ぼしていたのです。しかし、その後も丁寧に治療に取り組んでいった結果、今では乳や小麦を含めてみんなと同じ給食が食べられるようになり、毎日元気に学校に通っています。 (※ペプチド検査は現在検査会社の都合により提供中止となっています) 2.肌が弱い、お腹が弱い、メンタルが弱い・・・食べてすぐには分からない、遅れて影響を与えるアレルギー Cくんはもともと湿疹や喘息、特定の食品で口の周りが赤くなるなどのアレルギー体質があり、定期的に血液検査を行っていました。その時に調べていたのは一般的な即時型アレルギーの検査です。しかし、その検査では乳や小麦には明らかな反応は出ていませんでした。では、即時型アレルギーと遅発型アレルギーにはどのような違いがあるのでしょうか? これらの検査で調べるIgE、IgGというのは「抗体」と呼ばれるものです。 抗体は、身体の中へ侵入してきた病原菌などの異物(抗原といいます)に対して、リンパ球という免疫細胞が作りだす物質です。例えると、悪い物をやっつける武器のようなものですね。抗体は免疫グロブリンと呼ばれ、構造の違いによってIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5つに分類されます。 このうち、すぐに症状が出る即時型アレルギーはIgE抗体との関わりが深く、その一方で、遅発型アレルギーに関わると考えられているのがIgG抗体です。IgGは血液中に最も多く含まれる免疫グロブリンで、感染症に対する免疫システムの最初の攻撃の後、長期間の抵抗力をつける役目を果たしています。しかし、食品でこの抗体の数値が高かった場合、食後しばらく経過してからさまざまな症状が出る原因となる可能性があるのです。例えば、食後しばらくすると体調を崩す、慢性の湿疹や皮膚のかさつき、うつ症状、慢性的な疲労、関節炎・大腸炎、下痢・便秘など、慢性疾患や不定愁訴に関わる場合があると考えられています。 IgG遅発型アレルギーの厄介なところは、食べてすぐではなく、しばらく経ってから体調に影響を与えるという点です。日常的に食べているものだと慢性的な症状として現れることも多く、食後すぐに症状が出る即時型アレルギーと違って、原因が分かりにくいため、検査しなければ分からないアレルギーとも言えます。IgG遅発型アレルギーの検査は、日本国内では行われていません。アメリカでは近年検査できるところが増えていますが、検査会社によって数値や評価が異なります。 マリヤ・クリニックで長年採用しているIgG遅発型アレルギーの検査も、少量の血液を採取し、アメリカの検査機関に送るものです。一度の検査で、乳製品、豆類、果物、穀類、魚介類、肉類・卵、ナッツ、野菜、ハーブやスパイスなどの190種類の食品と、腸内環境悪化と関わりの深いカンジダ菌・酵母菌の2種類を調べます。 検査結果で高い反応が見られた食品を除去することで、他の治療で改善しなかった症状が改善されることがあります。しかし、それには注意も必要です。 3.自己流の除去は要注意! 単純に、高い反応が出た食品を除去すれば良いのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、たくさんの項目で高い反応が出てしまった場合、全てを除去することは容易なことではありません。何より、除去する食品が多いほど、栄養バランスのとれた食事にすることが難しくなります。除去ばかりを優先すると、栄養不足に陥る危険性があるからです。身体に負担となるものを除去するだけでなく、身体に必要なものをしっかり摂ることはとても大切なことです。ある食品を除去することで不足しやすくなる栄養素を、他の食品やサプリメントを有効に使って、いかに補うことができるかは、成長期の子供にとっては特に重要です。 また、マリヤ・クリニックでは、高い反応が出ていても、全ての食品で完全な除去が必要とは考えません。患者さんの症状や栄養状態、食事の状況などは1人1人違うため、何を優先的に除去するべきか、どの程度の除去が必要なのか、どの位の期間除去すれば良いのか・・・等、その方に最も適した方法を、経過を見ながら一緒に考えていきます。そのため、自己流の除去や管理では対策が難しいアレルギーなのです。 そして、高い反応が出た食品を除去するだけではなく、根本の部分からの改善を目指すためには、実は腸内環境を整えることがとても大切です。 4.免疫って何?アレルギーと腸内環境の関わり アレルギーと腸内環境って関係あるの?と思われる方もいるかもしれませんが、実はとても深い関係があります。アレルギーは過剰な免疫反応によって起こるものであり、免疫は腸内環境に深く関わっているからです。 そもそも「免疫」とは、一体どういうものなのでしょうか?私たちの周りには肉眼では見ることができないほど小さく、病気のもととなる病原体が無数に存在しています。この病原体から身体を守っているのが「免疫」です。免疫という言葉は「疫病(病気)から免れる」とうことからきています。私たちの身体は常に様々な病原体にさらされていることから、病原体が体内に侵入した時のために、それらを攻撃・殺傷・無毒化・排除する防御システム、つまり免疫を備えているのです。 免疫の主役は白血球と呼ばれる細胞です。白血球は様々な免疫細胞で構成されていますが、その一つに、リンパ球と呼ばれるものがあります。リンパ球にもいくつか種類があり、身体に入ってきた異物を攻撃するよう指令を出すものや、自ら攻撃する働きを持つもの、攻撃をするための武器(抗体)を作るものなどがあります。このうち、攻撃の指令を出すリンパ球はヘルパーT細胞と呼ばれ、代表的なものにTh1細胞とTh2細胞があります。Th1細胞は病原菌やウイルスなどを担当し、Th2細胞は花粉やダニ・ホコリなどのアレルゲンを担当しています。Th1細胞とTh2細胞は、お互いにけん制しあうことでどちらかに偏った免疫反応がおきないように調節しあっています。このバランスが取れている場合には免疫系は正常ですが、Th1細胞とTh2細胞のバランスが崩れ、Th2細胞が働きすぎるとアレルギーを発症しやすくなります。 私たちは、産まれた時はTh2細胞の働きが優位な状態で産まれてきます。成長に伴い、ウイルスや細菌が体内に侵入し、Th1細胞の働きがだんだんと発達することで、Th1細胞とTh2細胞のバランスが取れるようになっていくのです。小さいころにアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの症状を持っていた子が、成長するにつれて自然とアレルギー症状が出なくなっていく場合は、このTh1細胞とTh2細胞のバランスが整ってきたからと考えることができます。 しかし、昔と比べて現代は花粉症やアトピー性皮膚炎、喘息、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を持つ人が増えています。その理由の一つに、衛生面があげられます。昔と比べて現代は衛生面がとても発達していますが、行き過ぎた除菌・抗菌対策による清潔すぎる環境は、細菌やウイルスに感染する機会を減らし、Th1細胞の出番を減らしてしまいます。その一方で、大気汚染や食生活の多様化によってTh2細胞の出番は増えています。このように、Th2細胞が働きすぎる環境になっていることも、アレルギー疾患が増えた一因と考えられるのです。 そこで重要となるのが、腸内細菌のバランスです。善玉菌である乳酸菌にはTh1細胞の働きを活発にし、アレルギー反応を司るTh2細胞の働きを抑える働きがあります。アレルギー患者の腸内では善玉菌が少なく悪玉菌が多い傾向が見られることから、腸内環境を善玉菌が優勢になるようにし、Th1細胞とTh2細胞のバランスを整えることで、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を改善する治療方法が注目されています。 5.腸管免疫と、腸内環境を整えることの重要性 腸は身体を守る免疫系の中でも最前線で働いている器官です。なぜなら、腸は食べ物と一緒にさまざまな菌や有害物質も入ってくる場所だからです。病原菌が腸管からほかの部分に侵入するのを防ぐために、腸には免疫細胞の大部分、実に全身の60~70%が集中しています。また、全身の粘膜で、病原菌やウイルスなどの侵入者と直接戦うために分泌されるIgA抗体も、その多くが腸に存在しています。このように、腸で働く免疫機能のことを「腸管免疫」といいます。腸管免疫は侵入してくるものの善悪を見極め、悪い侵入者のみを除くという極めて難しいことを行っています。そして、この重要な働きに、腸内細菌が大きな影響を与えていることが明らかとなってきました。 これまでの動画で、腸に住む菌のバランスは、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7、つまり悪玉菌よりも善玉菌の方が多い環境が理想的であることをお伝えしました。この理想的な環境が、腸管免疫を維持するためにとても大切なのです。しかし、この菌のバランスが崩れて、善玉菌よりも悪玉菌の方が優位になってしまうと、カンジダ菌などのカビの仲間が腸内で増えてしまい、腸の壁を傷つけてリーキーガット(腸漏れ)を引き起こし、未消化の食べ物や有害な菌などが腸のバリアを越えて血液中に侵入しやすくなってしまいます。すると、感染症にかかりやすくなったり、アレルギーの一因となったりすることがあります。つまり、腸内環境が悪くなると、腸管免疫の低下を招いてしまうのです。 食品は本来、身体にとって栄養となる「安全なもの」のはずなのですが、未消化の状態で吸収されると穏やかではありますが免疫反応を引き起こし、極端な場合にはアレルギーなどを引き起こすこともあります。カゼイン/グルテン編の動画でお伝えした乳や小麦のペプチドと同様に、IgG抗体による遅発型アレルギーも、未消化の食べ物(特に未消化のタンパク質)が、腸内環境の悪化によって傷ついた腸壁から吸収されることで起こると考えられます。そのため、タンパク質の多い食品や普段よく食べているもので高い反応が出ることも珍しくありません。では、IgG遅発型アレルギーで高い反応が出た場合、どのような対策が必要となるのでしょうか?それには、大切な3つのポイントがあります。 1つ目は、高い反応が出た食品を除去することで、身体への負担を減らすことです。こちらについては、先ほどお話ししたように、1人1人個別の対応が必要となります。…

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【発達障害治療】腸内環境編

お腹は元気?腸内環境改善が身体全体の改善になる! みなさんこんにちは。マリヤ・クリニックです。このページでは、発達障害に特徴的な症状に対して、分子整合栄養医学的アプローチで改善を目指す当院の、実際に改善した例や治療の内容についてご紹介しています。 今回は、発達障害治療において最も重要な事といっても過言ではない腸内環境のことをお伝えします。腸内環境が良くなると日常の様々な困りごとが減っていく例が多いです。その理由は消化・吸収、菌や毒素をバリアする機能の改善だけではなく、腸は脳と連動しているため(脳腸相関)腸の改善は脳の改善になるからです。 発達障害の症状と腸内環境の関係 発達障害の症状と腸内環境って関係あるの?と思われる方もいるかもしれません。 実は、腸内環境が悪いと、お腹の調子や便の状態が悪くなるだけでなく、精神・神経に影響を与えたり、脳や身体がエネルギー不足になりやすかったりと、身体全体に大きな影響を与えてしまうのです。 マリヤ・クリニックに治療に来る発達障害のお子さんには、便秘や下痢・食欲不振・お腹が張りやすい・ガスが多いなど、お腹のトラブルを抱えている子がとても多いです。しかしそれは逆に、腸内環境を良くすることで身体全体の状態を改善できる可能性があるとも言えます。 実際に、腸内環境改善を取り入れた治療によって発達障害の症状が改善したBくんの例を紹介します。 初めてマリヤ・クリニックを受診した時、緊張と不安が強く大声で泣き、診察どころではなかったBくん。 当時の症状は、言葉の遅れ、歩くのが遅い、怒りっぽい、感覚過敏などがあり、赤ちゃんの頃から慢性的な便秘がありました。検査結果に基づいて、腸内環境の改善を筆頭に、負担となり得る食品の除去や食生活のアドバイス、サプリメントの摂取などで治療を始めました。 すると、少しずつ排便がスムーズになっていき、それに呼応するかのように、寝つきが良くなったり、怒りっぽさが落ち着いてゆくなどの変化が見られました。その後も治療を続けることで、言葉の発達や運動面の成長、感覚過敏の減少などの改善が見られ、治療を始めて3年が経つ頃には幼稚園に問題なく通えるようになったのです。 Bくんのように、腸内環境の改善が神経的・身体的な改善につながることはとても多くあります。 そこで今回は、腸内環境や、腸内環境を改善するためのポイントについてお伝えしていきたいと思います。 腸内環境について ヒトの腸内には様々な菌が住んでおり、大人になるとその数は100兆個以上にもなります。この多種多様な菌が密集している様子が、まるでお花畑(フローラ)が広がっているように見えることから、「腸内フローラ」とも呼ばれます。この膨大な数の腸内細菌は、私たちの健康状態にも大きな影響を与えています。腸内細菌は、ヒトにとって有益かどうかで「善玉菌」と「悪玉菌」に分けられ、それ以外に、多い方の味方につく「日和見菌」があります。これらの菌のバランスは、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7というバランスが理想です。日和見菌が全体の7割と最も多いのですが、残り3割のうち善玉菌と悪玉菌のどちらが多いかということが非常に重要なのです。つまり、善玉菌の方が悪玉菌より多ければ良い腸内環境になり、逆に悪玉菌の方が善玉菌より多くなると、悪い働きをする菌が大部分を占める悪い腸内環境、となってしまいます。 ヒトの腸内では、加齢とともに善玉菌が減少し悪玉菌が増加する傾向が見られます。母親の胎内は無菌状態ですから、産まれる前の赤ちゃんの腸内にはまだ菌は存在しません。出産時、産道を通る時に口や鼻を通して初めて菌が赤ちゃんの体内に入ります。生まれたばかりの赤ちゃんの腸内は、善玉菌が多く悪玉菌が少ないので、便は臭くありません。その後、離乳食が始まると様々な食品と一緒に菌も腸内に入り、腸全体に広がって、善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスが形成されていくのです。 しかし、現代社会には、腸内環境を悪化させる様々な要因があります。例えば、肉類・脂肪・甘い物の多い食生活、ストレスや睡眠不足などの不規則な生活リズム、自律神経のバランスの乱れ、抗生物質の多用など、身近な理由で善玉菌が減り、悪玉菌やカンジダ菌などのカビの仲間(真菌)が増えることにつながってしまうのです。 では、悪玉菌や真菌が増えることで、発達障害の症状を含め、身体にどんな影響を与えてしまうのでしょうか? 腸内環境が悪いと全身に影響を与えます 悪玉菌でよく見られるものとして、クロストリジウムや病原性大腸菌などの細菌があります。その他に、免疫力が低下した場合などはカンジダやサッカロミセスなどの真菌や酵母菌も繁殖してしまいます。これらの菌が増えることで、腸内環境が悪くなり、身体に様々な悪影響を及ぼしてしまうのです。 それでは、当院で発達障害の治療においても注目する代表的な悪玉菌と真菌を見てみましょう。 ①クロストリジウム 腸内細菌であるクロストリジウム属の中には、神経伝達物質のバランスを乱してしまう菌が存在します。これらの菌が作り出す物質には、ドーパミンの過剰分泌を引き起こすものがあります。日常的にドーパミン過剰の状態を作り出すことで、精神的に不安定になりやすい、幻聴や幻覚、過度のこだわり、感覚過敏などの原因になってしまうことがあるのです。 ②カンジダ菌 カンジダ菌は真菌(カビの仲間)の一種です。身近に存在する菌ですが、体内で増えると次のような様々な悪影響を及ぼします。 ◆リーキーガット(腸漏れ) カンジダ菌のようなカビの仲間は、腸の中で増えると菌糸を張って根付きます。そうすると腸壁が荒れてしまい、リーキーガット(腸漏れ)を引き起こします。荒れた腸からは、本来は吸収できない大きさの成分が通過してしまい、アレルギーや慢性的な炎症状態の原因となります。また、乳製品(乳ペプチド)や小麦製品(小麦ペプチド)による脳の混乱を引き起こす原因にもなります。 ◆血糖値が不安定になる カンジダ菌はアラビノースという物質を増やします。アラビノースは糖類に分類され、一部がブドウ糖に代わると考えられています。体内(血液中)のブドウ糖は血糖値とも呼ばれ、脳や身体の重要なエネルギー源となることから、ホルモンの働きによって厳密にコントロールされているものです。そのため、カンジダ菌の異常な増殖によってアラビノースが増えると、血糖値が不安定になり低血糖を招きやすく、脳や身体のエネルギー不足や感情のコントロールを不安定にさせる一因になってしまいます。 ◆エネルギーが作りづらくなる…

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【発達障害の症状改善】カゼイン/グルテン編

牛乳・小麦は要注意!?カゼイン・グルテン除去で興奮が減った! みなさんこんにちは。マリヤ・クリニックです。このページでは、発達障害に特徴的な症状に対して、分子整合栄養医学的なアプローチで改善を目指す当院の、実際に改善した例や治療の内容についてご紹介しています。 今回は、牛乳や小麦を食事から控えることで発達障害の特徴的な症状が改善した例と、その理由についてご紹介します。 分子整合栄養医学的なアプローチとは 発達障害の症状と食べ物に何の関係があるの?と思われる方もいるかもしれません。 実は、人によって食べ物の影響で興奮やパニック、幻聴や幻覚、感覚過敏などの症状が出てしまうことがあるのです。その代表的な食べ物が「牛乳」と「小麦」。どちらもとても身近な食べ物ですね。実際に、除去をして明らかな変化があった、という例を見てみましょう。 牛乳・小麦は要注意!?牛乳に含まれる「ペプチド」によって症状が出ていたAちゃんの事例とは!? 当院の患者さんで、強い不安感や緊張感、パニックなどの症状が特徴的な子がいました。療育や保育園に通う中で成長も見られていましたが、ある日、毎日幽霊が出ると言って怖がっている、という相談を受けたのです。そこで、その子の状況を踏まえ、牛乳や乳製品を一旦やめるようアドバイスを行いました。すると、幽霊が出る、と言って怖がることがなくなっていったのです。これは、「牛乳が幽霊という幻覚を生み出していた」ということが明らかになった出来事でした。食べ物のせいで幽霊を怖がっていたなんて、信じられないという方もいるかもしれません。でもこれにはきちんとした理由があるのです。 では、牛乳のいったい何がいけなかったのでしょうか? 何がいけなかったの? その原因は、牛乳の「ペプチド」というものです。「ペプチド」という言葉を聞いたことはありますか?初めて聞く方も多いと思います。では、「タンパク質」はどうでしょうか。こちらは聞いたことがあるかもしれません。こちらの方が馴染み深い言葉ですね。「ペプチド」というのは、この「タンパク質」の仲間です。 タンパク質は、20種類ある「アミノ酸」という物質がたくさん連なった形をしています。肉や魚などの食べ物に含まれるタンパク質はとても大きいため、そのままの形では吸収することができません。そこで、胃や腸で少しずつ分解(消化)されてから小腸で吸収されていきます。食べ物に含まれるタンパク質が消化・吸収されるためには実に3~4時間はかかります。この大きなタンパク質が、消化の過程で小さくなったもの、つまりアミノ酸が少数連なった状態のものが「ペプチド」です。 タンパク質の種類がたくさんあるように、ペプチドにもたくさんの種類があります。このたくさんあるペプチドの中で、食べ物由来で精神や神経に影響を与え得る、代表的な2種類のペプチドがあります。それが、牛乳に含まれるカゼインというタンパク質から生じるペプチド・「カソモルフィン」と、小麦に含まれるグルテンというタンパク質から生じるペプチド・「グリアドルフィン」です。これらのペプチドが腸から吸収されると、やがて脳内に入り、ヘロインやモルヒネといった薬物と似たような刺激を起こすことが分かっています。具体的には、GABAという脳全体を穏やかにするホルモンの働きを抑制し、ドーパミンという過剰になると興奮につながりやすいホルモンの分泌を促してしまうのです。 2種類のペプチド「カソモルフィン」と「グリアドルフィン」によって現れる発達障害の症状とは? このカソモルフィン、グリアドルフィンの影響によって現れる症状としては、目を合わせない、感覚過敏、急に道路に飛び出すなどの衝動的な行動、好きなことへの過集中、興味の対象が狭い、多動、幻聴・幻覚・妄想などがあります。先ほどお話した子の「幽霊が出て怖い」という症状は、牛乳のペプチドであるカソモルフィンによって引き起こされた幻覚症状だったと思われます。この子の場合だけでなく、牛乳や小麦を食べると、テンションが高くなる、興奮して夜なかなか寝付けない、学校でのトラブルが増える、といった事例はよく見られます。また、牛乳や小麦のペプチドには中毒性もあるため、影響を強く受けている子ほど、牛乳や小麦を好んでよく食べたがるということは珍しくありません。 これまで発達障害と食事の関連性は多く報告されてきましたが、その代表的な食べ物が、牛乳と小麦なのです。 取り除けば良い? ここまでの話を聞いて、じゃあ牛乳や小麦を控えてみよう!と思った方もいるかもしれません。確かに、症状に関わる可能性の高い食品を食事から除去し、変化が見られるかを確認することは大切です。しかし、それには注意が必要です。それは、ただ除去をするだけでは栄養不足を招く危険性があるからです。 例えば、牛乳・乳製品は手軽に摂れるタンパク源であるとともに、代表的なカルシウムの補給源でもあります。タンパク質は私たちの身体を作る土台となる栄養素ですし、カルシウムは骨や歯を作る材料になるほかホルモンの分泌や神経の安定にも欠かせないミネラルです。また、小麦はパンや麺類の材料となり、米と並ぶ主食(炭水化物)の代表的な食品です。炭水化物は人間が生きていく上で最も大切なエネルギー源となる栄養素です。このように、タンパク質やカルシウム、炭水化物は、特に成長期の子供にとってはなくてはならない栄養素です。そのため、ただ単に控えるだけでは、これらの栄養素が不足してしまう可能性があるのです。 牛乳・小麦を症状改善のために食事から除去する際の注意点と牛乳・小麦の代わりになる栄養価の高い食品紹介 そこで、牛乳や小麦の除去を行う場合にはその代わりとなる食品や栄養を補う必要があります。例えば、牛乳に多いタンパク質は肉や魚、卵、大豆製品に多く含まれます。牛乳やヨーグルトの代わりに豆乳などを使った植物性由来のミルク・ヨーグルト・チーズなどを利用したり、肉や魚など動物性の食品を意識して摂ったりするのも良いでしょう。 カルシウムは乳製品以外にも、煮干しやシシャモなどの小魚・小エビ・大豆製品などに多く含まれます。食品で十分に補うことが難しい場合はサプリメントの利用も積極的に行います。 また、炭水化物については小麦がダメなら米を食べれば良い、と思うかもしれませんが、パンや麺は今や私たちの食生活に欠かせない食品です。ご飯が大好きな子なら毎食ご飯でも大丈夫かもしれませんが、朝食にご飯は食べないけどパンなら食べてくれる、といったお子さんも多いのではないでしょうか。 幸い、現在はアレルギー対応食品として牛乳や小麦を含まない食品がどんどん増えています。米粉のパンや雑穀の麺など、食べやすく栄養価も高い食品も多くあります。マリヤ・クリニックに隣接するお店「ヨーゼフ」でも、牛乳・小麦を含まないグルテン・カゼインフリー食品を数多く取り揃えています。全ての食事を手作りで用意することはとても大変なことです。牛乳や小麦を含まないアレルギー対応食品を上手に利用して、家族皆で美味しく楽しく食べられる食事を大切にしましょう。 管理栄養士厳選!「自然食品・アレルギー対応食品ヨーゼフ」のオンラインショップはこちら 牛乳や小麦を除去することと並んで大切なポイントがあります。それは、「消化する力を育てること」と「腸内環境を整えること」です。 そもそも乳や小麦が必ずしも全員に同じように影響を与えるとは限りません。食べても問題ない、という方もいます。では、食べても大丈夫な人とそうでない人の違いは何なのでしょうか。 牛乳や小麦の影響を受ける人の特徴 その① 消化力が弱い 牛乳や小麦の影響を受ける人の特徴として、1つめに、消化力の弱さがあります。これは特定のタンパク質を適切に分解できないことが一因です。乳タンパク質のカゼインと小麦タンパク質のグルテンという大きいタンパク質を最後まで分解できないと、中途半端な大きさのペプチド、つまりカソモルフィン・グリアドルフィンというペプチドが生じやすく、これらが体内に取り込まれ脳に到達することで様々な精神・神経症状を引き起こします。このカソモルフィン、グリアドルフィンはアミノ酸が7つ繋がった形をしていますので、本来はもっと小さく分解できるはずなのです。しかし、消化酵素が少なく消化力が弱い、特定の消化酵素を作り出せないといったことがあると、中途半端な大きさのペプチドまでしか分解できないのです。タンパク質の消化酵素はタンパク質から作られますが、当院で血液検査をすると、そもそもタンパク質が足りていない子がとても多いのです。 そのため、足りない消化酵素をサプリメントで補い、消化に良い食べ物や食べ方・調理法を意識して消化を助けながら、適切な栄養素の補給を行い、自分自身の消化酵素を育てることがとても大切です。…

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