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【発達障害の症状改善】カゼイン/グルテン編

牛乳・小麦は要注意!?カゼイン・グルテン除去で興奮が減った!


みなさんこんにちは。マリヤ・クリニックです。このページでは、発達障害に特徴的な症状に対して、分子整合栄養医学的なアプローチで改善を目指す当院の、実際に改善した例や治療の内容についてご紹介しています。 今回は、牛乳や小麦を食事から控えることで発達障害の特徴的な症状が改善した例と、その理由についてご紹介します。

分子整合栄養医学的なアプローチとは

発達障害の症状と食べ物に何の関係があるの?と思われる方もいるかもしれません。 実は、人によって食べ物の影響で興奮やパニック、幻聴や幻覚、感覚過敏などの症状が出てしまうことがあるのです。その代表的な食べ物が「牛乳」と「小麦」。どちらもとても身近な食べ物ですね。実際に、除去をして明らかな変化があった、という例を見てみましょう。

牛乳・小麦は要注意!?牛乳に含まれる「ペプチド」によって症状が出ていたAちゃんの事例とは!?

当院の患者さんで、強い不安感や緊張感、パニックなどの症状が特徴的な子がいました。療育や保育園に通う中で成長も見られていましたが、ある日、毎日幽霊が出ると言って怖がっている、という相談を受けたのです。そこで、その子の状況を踏まえ、牛乳や乳製品を一旦やめるようアドバイスを行いました。すると、幽霊が出る、と言って怖がることがなくなっていったのです。これは、「牛乳が幽霊という幻覚を生み出していた」ということが明らかになった出来事でした。食べ物のせいで幽霊を怖がっていたなんて、信じられないという方もいるかもしれません。でもこれにはきちんとした理由があるのです。

では、牛乳のいったい何がいけなかったのでしょうか?

何がいけなかったの?

その原因は、牛乳の「ペプチド」というものです。「ペプチド」という言葉を聞いたことはありますか?初めて聞く方も多いと思います。では、「タンパク質」はどうでしょうか。こちらは聞いたことがあるかもしれません。こちらの方が馴染み深い言葉ですね。「ペプチド」というのは、この「タンパク質」の仲間です。 タンパク質は、20種類ある「アミノ酸」という物質がたくさん連なった形をしています。肉や魚などの食べ物に含まれるタンパク質はとても大きいため、そのままの形では吸収することができません。そこで、胃や腸で少しずつ分解(消化)されてから小腸で吸収されていきます。食べ物に含まれるタンパク質が消化・吸収されるためには実に3~4時間はかかります。この大きなタンパク質が、消化の過程で小さくなったもの、つまりアミノ酸が少数連なった状態のものが「ペプチド」です。

タンパク質の種類がたくさんあるように、ペプチドにもたくさんの種類があります。このたくさんあるペプチドの中で、食べ物由来で精神や神経に影響を与え得る、代表的な2種類のペプチドがあります。それが、牛乳に含まれるカゼインというタンパク質から生じるペプチド・「カソモルフィン」と、小麦に含まれるグルテンというタンパク質から生じるペプチド・「グリアドルフィン」です。これらのペプチドが腸から吸収されると、やがて脳内に入り、ヘロインやモルヒネといった薬物と似たような刺激を起こすことが分かっています。具体的には、GABAという脳全体を穏やかにするホルモンの働きを抑制し、ドーパミンという過剰になると興奮につながりやすいホルモンの分泌を促してしまうのです。

2種類のペプチド「カソモルフィン」と「グリアドルフィン」によって現れる発達障害の症状とは?

このカソモルフィン、グリアドルフィンの影響によって現れる症状としては、目を合わせない、感覚過敏、急に道路に飛び出すなどの衝動的な行動、好きなことへの過集中、興味の対象が狭い、多動、幻聴・幻覚・妄想などがあります。先ほどお話した子の「幽霊が出て怖い」という症状は、牛乳のペプチドであるカソモルフィンによって引き起こされた幻覚症状だったと思われます。この子の場合だけでなく、牛乳や小麦を食べると、テンションが高くなる、興奮して夜なかなか寝付けない、学校でのトラブルが増える、といった事例はよく見られます。また、牛乳や小麦のペプチドには中毒性もあるため、影響を強く受けている子ほど、牛乳や小麦を好んでよく食べたがるということは珍しくありません。 これまで発達障害と食事の関連性は多く報告されてきましたが、その代表的な食べ物が、牛乳と小麦なのです。

取り除けば良い?

ここまでの話を聞いて、じゃあ牛乳や小麦を控えてみよう!と思った方もいるかもしれません。確かに、症状に関わる可能性の高い食品を食事から除去し、変化が見られるかを確認することは大切です。しかし、それには注意が必要です。それは、ただ除去をするだけでは栄養不足を招く危険性があるからです。 例えば、牛乳・乳製品は手軽に摂れるタンパク源であるとともに、代表的なカルシウムの補給源でもあります。タンパク質は私たちの身体を作る土台となる栄養素ですし、カルシウムは骨や歯を作る材料になるほかホルモンの分泌や神経の安定にも欠かせないミネラルです。また、小麦はパンや麺類の材料となり、米と並ぶ主食(炭水化物)の代表的な食品です。炭水化物は人間が生きていく上で最も大切なエネルギー源となる栄養素です。このように、タンパク質やカルシウム、炭水化物は、特に成長期の子供にとってはなくてはならない栄養素です。そのため、ただ単に控えるだけでは、これらの栄養素が不足してしまう可能性があるのです。

牛乳・小麦を症状改善のために食事から除去する際の注意点と牛乳・小麦の代わりになる栄養価の高い食品紹介

そこで、牛乳や小麦の除去を行う場合にはその代わりとなる食品や栄養を補う必要があります。例えば、牛乳に多いタンパク質は肉や魚、卵、大豆製品に多く含まれます。牛乳やヨーグルトの代わりに豆乳などを使った植物性由来のミルク・ヨーグルト・チーズなどを利用したり、肉や魚など動物性の食品を意識して摂ったりするのも良いでしょう。

カルシウムは乳製品以外にも、煮干しやシシャモなどの小魚・小エビ・大豆製品などに多く含まれます。食品で十分に補うことが難しい場合はサプリメントの利用も積極的に行います。

また、炭水化物については小麦がダメなら米を食べれば良い、と思うかもしれませんが、パンや麺は今や私たちの食生活に欠かせない食品です。ご飯が大好きな子なら毎食ご飯でも大丈夫かもしれませんが、朝食にご飯は食べないけどパンなら食べてくれる、といったお子さんも多いのではないでしょうか。

幸い、現在はアレルギー対応食品として牛乳や小麦を含まない食品がどんどん増えています。米粉のパンや雑穀の麺など、食べやすく栄養価も高い食品も多くあります。マリヤ・クリニックに隣接するお店「ヨーゼフ」でも、牛乳・小麦を含まないグルテン・カゼインフリー食品を数多く取り揃えています。全ての食事を手作りで用意することはとても大変なことです。牛乳や小麦を含まないアレルギー対応食品を上手に利用して、家族皆で美味しく楽しく食べられる食事を大切にしましょう。

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牛乳や小麦を除去することと並んで大切なポイントがあります。それは、「消化する力を育てること」と「腸内環境を整えること」です。 そもそも乳や小麦が必ずしも全員に同じように影響を与えるとは限りません。食べても問題ない、という方もいます。では、食べても大丈夫な人とそうでない人の違いは何なのでしょうか。

牛乳や小麦の影響を受ける人の特徴 その① 消化力が弱い

牛乳や小麦の影響を受ける人の特徴として、1つめに、消化力の弱さがあります。これは特定のタンパク質を適切に分解できないことが一因です。乳タンパク質のカゼインと小麦タンパク質のグルテンという大きいタンパク質を最後まで分解できないと、中途半端な大きさのペプチド、つまりカソモルフィン・グリアドルフィンというペプチドが生じやすく、これらが体内に取り込まれ脳に到達することで様々な精神・神経症状を引き起こします。このカソモルフィン、グリアドルフィンはアミノ酸が7つ繋がった形をしていますので、本来はもっと小さく分解できるはずなのです。しかし、消化酵素が少なく消化力が弱い、特定の消化酵素を作り出せないといったことがあると、中途半端な大きさのペプチドまでしか分解できないのです。タンパク質の消化酵素はタンパク質から作られますが、当院で血液検査をすると、そもそもタンパク質が足りていない子がとても多いのです。

そのため、足りない消化酵素をサプリメントで補い、消化に良い食べ物や食べ方・調理法を意識して消化を助けながら、適切な栄養素の補給を行い、自分自身の消化酵素を育てることがとても大切です。

牛乳や小麦の影響を受ける人の特徴 その② 腸内環境が悪い

2つめは、腸内環境が悪いことです。口から食べた食物は、消化されて小腸で吸収されます。腸は栄養を吸収する場所でもあり、また食べ物と一緒に入ってきた病原菌や有害物質が血液中に侵入しないようバリアを張って身体を守っている場所でもあるのです。そのため、いくら口から良いものを摂っても、腸の状態が悪いと栄養を十分に吸収できなかったり、逆に悪いものを摂りこんでしまったりするのです。実際に、マリヤ・クリニックに治療を求めて来る子は便秘や下痢・食欲不振などお腹のトラブルを抱えている子が非常に多いです。

腸の状態が良いか悪いかは、腸内に住んでいる菌のバランスに大きく左右されます。腸の中には実に100兆個以上の菌が住んでいますが、この腸内細菌は大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分けられます。善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7というバランスが理想的ですが、このバランスが崩れて善玉菌よりも悪玉菌の方が優位になると、腸内環境が悪いとされ、様々な弊害が現れてきます。その一つが、カンジダ菌などのカビの仲間が腸の中で増えてしまうことです。

リーキーガット(腸漏れ)

食べ物は消化されると、小腸の腸壁の表面にある上皮細胞という細胞で吸収されます。この上皮細胞は、本来隣り合う細胞同士で隙間なく結合しているのですが、腸内で増えたカンジダ菌が腸壁を傷つけてしまうと、細胞同士の結合が弱まって隙間が生じ、リーキーガット(腸漏れ)を引き起こす一因となります。すると、栄養の吸収障害が起こるだけでなく、有害物質や未消化の食べ物、乳や小麦のペプチドなどが血液に乗って全身に運ばれてしまい、脳に取り込まれ様々な精神・神経症状に繋がったり、アレルギーや慢性的な炎症状態を引き起こしたりしてしまうのです。

そのため、腸内の菌のバランスを整え善玉菌優位の環境にすることや、傷ついた腸壁を修復してバリア機能を強化することは全身の健康を保つ上でもとても大切です。腸内環境については、詳しく説明している動画がありますので、興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

いかがでしたか。今回は乳と小麦が与える影響についてのお話でした。他にも発達障害特有の症状を招く様々な要因がありますので、興味のある方は、ぜひ他の動画・投稿もご覧ください。 最後までご覧いただきありがとうございました。


Youtube動画リスト

【発達障害の症状改善】カゼイン/グルテン編①

牛乳・小麦は要注意!?牛乳に含まれるペプチドによって症状が出ていたAちゃんの事例とは!?

【発達障害の症状改善】カゼイン/グルテン編②

牛乳・小麦を症状改善のために食事から除去する際の注意点と牛乳・小麦の代わりになる栄養価の高い食品紹介

【発達障害の症状改善】カゼイン/グルテン編③

牛乳・小麦を食べて影響がある人とそうでない人の違いは? 消化力の弱さと腸内環境の悪化による腸のダメージが関係!?

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